東京都で建設業許可を取得する方法を解説

最終更新日:
東京都の建設業許可の取得方法

東京都には建設業者が多く、建設業許可の取得件数も全国トップクラスです。そのため、東京都では多くの申請が日々行われています。

書類に不備があると申請を受け付けてもらえないことがあり、他の地域に比べて手続きが厳しいと言われることもあります。

しかし、東京都で建設業を営む方にとって、建設業許可を取得することは大きなメリットがあります。許可を得ることで、受注できる仕事の幅が広がり、ビジネスチャンスも増えるでしょう

今回は、東京都で建設業許可を取得する方法について、わかりやすく解説していきます。

建設業許可の無料相談
  • 上場企業大手グループへのサポート実績多数!複雑な状況もお任せください
  • 簡単なヒアリングで建設業許可の取得可能性の判断をお伝えします
  • 許可要件を満たさない場合は、最短取得までの準備方法をご案内いたします

東京都で建設業許可を取得する方法

建設業の許可は、営業所の設置形態により大臣許可や都道府県知事許可がありますが、知事許可については各都道府県ごとに審査における確認方法が異なる場合があります。

今回は東京都における建設業許可の取得要件を確認していきます。

建設業許可を東京都で取得する際の許可要件

東京都で建設業の許可を取得する際の許可要件は、次の5つの要件を満たす必要があります。

  1. 経営業務の管理責任者の設置
  2. 営業所に常勤する専任技術者の設置
  3. 誠実性
  4. 自己資本や資金調達能力の証明
  5. 欠格要件に該当しないこと

それぞの要件について解説していきます。

経営業務の管理責任者の設置

建設業の許可を受けようとする者は、経営業務の管理を適正に行うために次の要件に該当する経営業務の管理責任者を営業所に設置する必要があります。

常勤の役員等のうち1人が次のいずれかに該当すること

  • 建設業に関し5年以上の経営管理責任者として実務経験を有する者
  • 上記の経験に準ずる地位にある者として、建設業に関し5年以上の経営管理責任者として実務経験を有する者
  • 建設業に関し6年以上の経営管理責任者に準ずる者として、経営業務の補佐に関する実務経験を有する者

常勤役員等のうち1人が次のいずれかに該当する場合で、かつ、財務管理業務・労務管理業務・業務運営の実務経験を有する者をそれぞれ補佐として置く場合

  • 建設業に関し、2年以上の役員経験、かつ、5年以上役員等または役員等に次ぐ職務に関する実務経験を有する者
  • 5年以上役員等として実務経験を有し、かつ、建設業に関して2年以上役員等として実務経験を有する者

経営経験・実務経験を請求書等で確認する場合には、証明に必要な月数分として、原則1月に1件です。

営業所に常勤する専任技術者の設置

各営業所には、次の要件に該当する専任技術者を常勤として置かなければなりません。

  • 許可を受けようとする建設業の建設工事に関し、在学中に国土交通省令で指定する所定の学科を修了した者で、高等学校・中等教育学校を卒業後5年以上、大学・高等専門学校を卒業後3年以上の実務経験を有する者
  • 許可を受けようとする建設業の建設工事に関し10年以上の実務経験を有する者
  • 所定の国家資格者・技術士資格者
  • 一定金額以上の直接請負工事に関し、2年以上の指導監督的な実務経験を有する者

ただし、特定建設業の許可を受ける場合には「所定の国家資格」または「指導監督的な実務経験」を有する必要があります。

また、「指定建設業」とよばれる工事(土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園)については、「所定の国家資格」でのみ特定建設業の許可を受けることができます。

誠実性

誠実性の要件とは、法人においては当該法人・役員・使用人が、個人においてはその個人・使用人が、建設業に関する請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれがない者であることが要件となります。

この場合の不正な行為とは、請負契約や契約の履行時における詐欺・脅迫・横領等の法律違反行為を指します。

また、不誠実な行為とは、工事内容や工期に関して不可抗力による損害負担等、請負契約に違反する行為を指します。

これらの法律違反や契約違反をおこなう対象者については、名称や役職等で判断するのではなく、実質的に支配力を有する者であれば広く対象となります。

なお、建築士法や宅建業法の規定により、不正・不誠実な行為をおこなった者として処罰を受け、免許取消や取消処分から5年を経過しない者は誠実性の要件に該当しない者として取り扱われます。

自己資本や資金調達能力の証明

一般建設業は下記のいずれかに該当することが求められます。

  • 自己資本が500万円以上であること
  • 500万円以上の資金調達能力を有すること
  • 直前5年間東京都知事許可を受けて継続して営業した実績があること

「資金調達能力を有する」とは、申請者名義の口座における取引金融機関の預金残高証明書または、融資証明書で判断されます。証明日は申請受付時点で1か月以内、複数金融機関でも同一証明日であれば有効です。

特定建設業は、下記のすべてに該当していなければなりません。

  • 欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
  • 流動比率が75%以上であること
  • 資本金の額が2000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4000万円以上であること

申請時直前に確定した貸借対照表で、定時株主総会で承認済みのものが必要です。新規設立会社で決算期未到来でも作成が求められます。

欠格要件に該当しないこと

建設業の許可を受けるためには次の欠格要件に該当しないことが求められます。

  • 許可申請書や添付書類の記載内容に虚偽記載がある、または重要な事実の記載が欠けている場合
  • 法人においては当該法人・役員・使用人が、個人においてはその個人・使用人等が建設業法で定める欠格事由に該当しないこと

建設業法で定める欠格事由の一例をあげると、次のような場合です。

  • 破産者で復権を得ない者
  • 建設業の許可を取り消され、取り消しの日から5年を経過しない者
  • 建設業法違反により業務の停止・禁止を受け、所定の期間を経過しない者
  • 暴力団員
  • 心身の故障により建設業の正常な業務運営が出来ない者等

東京都で建設業許可を取得する流れ

実際に東京都で建設業許可を取得する流れを4つのステップで見ていきましょう。

  1. 必要書類の準備
  2. 東京都庁へ申請書を提出
  3. 審査と許可の交付
  4. 許可取得後

必要書類の準備

東京都知事許可の申請に必要な主な書類は以下の通りです。

  • 建設業許可申請書
  • 役員の一覧表
  • 営業所一覧表
  • 営業所技術者等一覧表
  • 使用人数
  • 誓約書
  • 営業の沿革
  • 所属建設業者団体
  • 健康保険等の加入状況
  • 主要取引金融機関名
  • 常勤役員等証明書
  • 常勤役員等の略歴書
  • 許可申請者の住所、生年月日等に関する調書
  • 株主調書
  • 履歴事項全部証明書
  • 登記されていないことの証明書
  • 身分証明書
  • 常勤役員等の確認資料
  • 営業所技術者等の確認資料
  • 健康保険・厚生年金・雇用保険の加入状況を証明する書類
  • 役員等氏名一覧表

申請に必要な書類はたくさんあり、特に東京都は独自の書式もありますので事前に正しく準備することが重要です。

書式は東京都市整備局のホームページよりダウンロードが可能です。

建設業法改正があると書式の内容が変わる可能性があり、見た目は変わらなくても微妙に変更がされているものもあります。

書式の左上に様式の種類の記載がありますので、手引きと照らし合わせながら常に最新の書式を使用するようにしましょう。

また、東京都では書類の不備があると受付してくれず、揃うまで何度もやりとりをすることがあります。

受付印がもらえてから処理が始まりますので、許可が下りるまで余計に時間がかかってしまいます。

申請前には不備や不足がないか入念にチェックするようにしましょう。

東京都庁へ申請書を提出

書類がそろったら、東京都庁の建設業課に申請をします。

申請の種類によってはオンライン申請や郵送申請ができますが、新規申請の場合は窓口での提出が原則です。

申請は①番窓口で行われ、受付時間は午前中が9時~11時30分、午後は1時~4時です。

審査に時間がかかりますので、余裕をもって来庁するようにしましょう。

①番窓口はいつも混んでおり、特に金曜の午後や月末は待ち時間が長くなる傾向にあります。

令和7年4月より、窓口の混雑状況がリアルタイムで配信されるようになり便利になりました。

受付票にQRコードがありますのでそれを読み込むと、呼び出しが近づくとメールで知らせてくれますので待ち時間を有効に使えます。

窓口審査は時間がかかりますので、呼ばれるまでは待合室で待ちます。

不備がなければ受付印がもらえ、そこから処理が開始されます。また、受付が完了すると手数料の支払いも必要になります。

東京都の手数料の支払方法は今まで現金のみでしたが、令和7年よりキャッシュレスでの支払いが可能になりより便利になりました。

審査と許可の交付

申請書類に受付印がもらえ手数料を納めると、東京都での処理が始まります。

東京都の新規申請の標準処理期間は25日です。

処理の間に不備がみつかると補正となり、補正書類が提出されるまで処理が止まるので処理期間が長くなる場合もあります。

許可が下りると、建設業許可通知書が交付され郵送で送られてきます。

この許可通知書をもって、正式に建設業者として業務ができるようになります。

許可日は処理が終わり通知書が発行された日となり、受付印の日ではありませんので注意が必要です。

許可取得後

建設業許可を取得した後も、変更届などの提出や守らなくてはならない義務があります。

主な届出は以下のものとなります。

毎年の事業年度終了報告書の提出(決算変更届)

事業年度が終了した後、4か月以内に提出する必要があります。

5年ごとの更新手続き

建設業許可は5年ごとに更新が必要です。更新手続きを怠ると許可が失効し、再取得が必要になるため注意が必要です。

変更届の提出(役員変更や商号変更時)

会社の役員が変更になった場合や、商号を変更した際には速やかに変更届を提出しなければなりません。

建設業許可票の掲示

許可を受けた建設業者は、事務所の見やすい場所に建設業許可票を掲示する義務があります。

これらの義務を怠ると、行政指導や罰則の対象になる可能性があるため、注意するようにしましょう。

東京都の建設業許可の申請先

東京都での建設業許可の申請先は、東京都庁になります。

受付時間は午前9時から午後5時です。窓口での新規申請は午前9時から11時30分、午後1時から4時までとなります。

東京都都市整備局市街地建築部建設業課 (住所)東京都新宿区西新宿二丁目8番1号 都庁第二本庁舎3階南側 (代表) 03-5321-1111

また東京都では、令和5年10月23日から電子申請システムを利用することによる電子申請での受付が可能となっています。

ただし、電子申請での受付ができない場合として以下に該当する場合には紙による申請となります。

  • 専任技術者について、5年を超える経験を示す必要がある申請・届出
  • 経営業務の管理責任者について、「取締役経験5年」以外での申請・届出

特に、経営業務の管理責任者についてはより詳細な確認が必要となります。

「取締役経験5年」「元経営管理業務の責任者であることを建設業許可の副本等で確認できる場合」以外は窓口での受付が必要となります。

建設業許可を東京都で取得するには行政書士に依頼

建設業許可の申請を行政書士に依頼すべき理由は下記の2点です。

  • 自分で申請するには書類の収集が難しい
  • 東京都は建設業許可の審査が厳しい

詳しく見ていきましょう。

自分で申請するには書類の収集が難しい

建設業の許可申請で必要な書類については、必要となる書類が多岐にわたり、書類取得のための申請先も様々なのでとても手間が掛かります。

初めて申請する書類に関しては、申請の方法や申請先、申請に必要な添付書類や必要となる手数料をそれぞれ申請書類ごとに調べていく必要があります。

例えば、添付書類の一つである「身分証明書」については本籍地の各市区町村の戸籍課にて取得します。本籍地が不明であれば、本籍地の確認のために本籍地の記載のある住民票の取得をする必要があります。

さらに、本籍地が遠方のために郵送申請する場合は、郵送申請のための準備が必要となります。

「登記されていないことの証明書」は、東京法務局の後見登録課もしくは各都道府県の本局の戸籍課窓口で取得することができます。本局の戸籍課は各県に1カ所しかなく、支局・出張所での取得はできません。

また申請時点での作成期限が求められる書類もあるので、取得のタイミングも重要ですし、慣れない書類の収集は想像以上に時間と手間が掛かります。

東京都は建設業許可の審査が厳しい

基本的な許可要件は他の自治体と同じですが、要件の確認については証拠となる書類に基づいて厳格におこなわれる傾向にあります。

特に「経営業務の管理責任者」「専任技術者」の経営経験や実務経験を確認する際には、それらを証明するための裏付け書類が詳細に渡り確認されます。

審査が厳しいといわれる所以は、審査内容が細かく整合性の判断が厳格にされることにありますので、丁寧に書類を揃え準備をする必要があります。

また、都道府県ごとに許可申請における運用ルールがありますので、東京都の建設業許可取得をスムーズに取得したいとお考えの方は、是非経験豊富な行政書士事務所へ依頼してみましょう。

 

ご相談は、お電話・LINE・メール・ZOOMを利用したオンライン面談もご用意しています。

メールでの相談をご希望の方は、下記フォームより情報を送信ください。24時間承っております。

ページトップへ戻る