経営事項審査は、経営規模、技術力、社会性、経営状況を総合的に判断し、その結果が点数となるいわば会社の通知表のようなものです。
今回はその中でも25%を占める技術職員数及び元請完成工事高の中の「技術職員」についてお話したいと思います。
目次
技術職員数とは技術力を評価するための項目
経営事項審査(略して「経審(けいしん)」)における技術職員数は、いわば技術力を評価するための項目です。
常勤している資格保有者や実務経験者の人数を評点に反映させています。当然、実務経験者より有資格者の方が評点が上がります。
1級の国家資格者の中でも監理技術者講習を受けている者は、さらに加点の対象になります。
常勤していることが評価される前提となりますので、常勤性の確認のための資料の提示や提出が必要となります。
申請時における常勤性が必要!アルバイトや派遣社員は対象外
建設業許可では、申請の時点で常勤性が担保されていれば良しとされています。
経審では「審査基準日(決算日)以前に6ヶ月を超える恒常的雇用関係があり、かつ、雇用期間を特に限定することなく常時雇用されている者」に限定されています。
例えば、3月決算の会社の場合、9月29日よりも前に採用されていて、雇用の期限がない人が対象になります。
したがって、アルバイトや派遣社員・契約社員は技術職員になることができません。
出向社員や定年後の継続雇用制度の適用者は対象となる
出向社員や定年後の継続雇用制度の適用者は技術職員として評価を受けることができます。
出向社員の場合は、出向契約書や出向元での常勤性が証明できる資料等で常勤性が確認できれば評価対象となります。
定年後の継続雇用制度の適用者は1年ごとの契約更新があっても、継続雇用制度を定めた就業規則と継続雇用制度適用者名簿等を提出(提示)することで評価対象となります。
一人の技術職員の加点は2業種までに限定される
1人の技術職員に対して、加点の対象となるのは2業種に限られます。
そのため、1人の技術職員がいくつもの国家資格を持っていても、評価の対象にできるのは2業種に制限されます。
そのため、どの業種をカウントの対象にするかを事前にシュミレーションをして対象にする2業種を決定することになります。
経審の技術職員と建設業許可の専任技術者・主任技術者(監理技術者)の違い
経審の技術職員は出向社員であっても加点の対象になります。
しかし建設業許可においては出向社員は専任技術者になることはできますが、現場に配置される主任技術者(監理技術者)は出向社員不可となっています。
経審の技術職員名簿に名前を載せているからといって、出向者を主任技術者(監理技術者)に配置してしまうと処分の対象となってしまいますのでご注意下さい。
技術職員の配点と評価を上げる方法
技術職員の配点は下記のとおりです。
対象者 | 配点 |
---|---|
1級資格者でかつ監理技術者講習修了者 | 6点 |
1級資格 | 5点 |
基幹技能者講習修了者で1級資格者以外の者 | 3点 |
2級資格 | 2点 |
その他技術者(実務経験者等) | 1点 |
技術職員の人数が多ければ、それだけ評価は高くなります。しかし、技術職員の配点を見ると分かるように、持っている資格等によって配点が変わります。
1級資格者であれば、監理技術者講習を受講することで1点上がりますし、2級資格者が基幹技能者講習を受講することで1点上がります。
実務経験者も積極的に資格を取得することで点数アップに繋がります。
厚生労働省では建設業の資格取得のための助成金が複数あります。それらを活用し人件費を増大させることなく経審の評価を上げてみてはいかがでしょうか?