建設業許可に必要な500万円がない?残高証明や見せ金について解説

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建設業許可に必要な500万円がない?残高証明や見せ金について解説

建設業許可の要件の一つであり、財産的要件である500万円の自己資本や資金調達能力についてはどのような方法で証明するのでしょうか?

証明方法や資金調達の方法、特定建設業における相違点について確認します。

建設業許可に必要な財産要件は500万円の資金を有すること

建設業の許可を取得する際に必要な財産的要件は、500万円以上の自己資本か資金調達能力を有することが必要です。

  • 純資産における自己資本が500万円以上
  • 残高証明書で500万円以上の資金調達能力を証明する

それでは具体的にどのように証明する必要があるのか詳しく見ていきましょう。

純資産における自己資本が500万円以上

純資産における自己資本が500万円以上とは、直近の確定した決算の財務諸表にある貸借対照表で判断します。

貸借対照表を確認した時にその右下、純資産の部の純資産合計額が500万円以上であることが必要です。

もし純資産額が500万円未満である場合には、次に説明する預金の残高証明書や融資証明書で証明する必要があります。

残高証明書で500万円以上の資金調達能力を証明する

純資産における自己資本で500万円以上の証明ができない場合には、銀行の預金における残高証明書で証明する必要があります。

残高証明書は金融機関に請求すれば発行してくれますが、基準日時点における残高を証明する書類で通常は発行にある程度日数を要します。

また添付書類として許可主体毎に有効期限を設けていますので、残高証明の申請日は注意をする必要があります。

残高証明書は1枚のみ提出!見せ金でも問題ない

残高証明書は基本的に1枚にまとめるようにしましょう。自治体によっては、証明日が同日の別々の口座の残高証明書でも認める可能性があります。詳しくは専門の行政書士に確認しましょう。

また、見せ金というと少し語弊があるかもしれませんが、要は残高証明書の基準日時点における500万円の資金調達能力を証明することが必要です。

その資金の調達方法やその後の資金の継続的な残高証明まで求めるものではありません。

資金調達能力を証明するための資金調達方法としては次のような方法が検討されます。

日本政策金融公庫からの融資・借り入れを行う

1つ目は日本政策金融公庫からの融資・借り入れです。政府系の銀行なので民間の金融機関よりは比較的融資のハードルが下がります。融資や借り入れ条件を確認し、条件に該当すれば融資の申込みや借り入れを検討します。

ただ政府系といえども融資や借り入れには当然審査がありますので、事前の準備や相談が重要となります。

現預金ではなく担保価値がある不動産などがある場合には、それらを担保に借り入れを起こすことも検討できるでしょう。

知人や友人から資金調達する

2つ目は知人や友人から資金を調達する方法です。もし、つてや人脈があるのであれば、知人や友人から資金を調達するという方法でも問題はありません。

500万円の残高証明書で証明するのは基準日時点の資金調達の能力であり、調達方法まで確認するわけではないからです。基準日後、口座から資金が引き出されても事業の運営に必要で使用されることもあるでしょうし、ずっと口座に500万円の残高を求めるものではありません。

ただし、残高証明書の証明日付が申請時点に於いて期限切れなどの場合で、残高証明書の取り直しなどが必要となった場合は再度500万円の残高が必要になりますので、証明日付には注意が必要です。

更新の際に財産要件の証明は不要

建設業の許可は有効期間が5年間あり、5年毎に更新する必要があります。

特定建設業以外の建設業では、その更新の際に改めて500万円の財産要件を確認することはないので、上記のような証明書は必要ありません。

5年間の事業実績により、財産要件を満たしていると見做されるためです。

特定建設業許可は財産要件が厳しい

特定建設業の許可においては、下請け業者の保護や建設工事の適正な施行確保の観点から、上記財産要件よりも更に厳しい要件が求められています。

建設業許可事務ガイドラインによると、特定建設業は、下記のすべてに該当していなければなりません。

欠損の額が資本金の20%を超えていないこと流動比率が75%以上であること資本金の額が2000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4000万円以上であること

引用:内閣府

欠損の額とは、法人にあっては貸借対照表上の繰越利益剰余金がマイナスである場合にその額が資本剰余金、利益準備金及び任意積立金の合計額を上回る額を、個人にあっては事業主損失が事業主借勘定から事業主貸勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金を加えた額を上回る額をさします。

流動比率とは、流動資産を流動負債で除して得た数値を百分率(%)で表したものをさします。

資本金とは、法人にあっては株式会社の払込資本金、個人にあっては期首資本金をさします。

自己資本とは、法人にあっては貸借対照表における純資産合計額を、個人にあっては期首資本金、事業主借勘定及び事業主利益の合計額から事業主貸勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保性引当金及び準備金の額を加えた額をさします。

要件に該当するかの判断時期は、許可申請時に既に設立済の株式会社については直前の決算期における財務諸表で判断し、許可申請と同時に新規設立した株式会社については、創業時の財務諸表で判断されることになります。

許可後更新までの間に上記要件に該当しなくなっても、即座に許可が取消しとはなりませんが、更新申請時においては要件に該当しているかが更新許可の判断対象となります。

更新申請時に要件を満たさない場合には、不許可となり更新できませんので財産要件の維持には注意が必要です。

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